※この記事は2004/10/4にホームページにUPしたものを移動したものです。
学校の授業でちょっと触れて、感銘をうけたのでちょこっと紹介します。
現在、日本においてエネルギー(特に電気)は火力に頼っているのが実情です。
しかし、弊害として多量の化石燃料を消費し
二酸化炭素を排出しまくるという点があります。
京都議定書はどうなった?
その上、近年は化石燃料の枯渇が指摘され
近い将来火力以外のエネルギー生成方法が必要となるのは必然です。
わかりやすく発電に限ってみましょうか。
現在は火力・水力・原子力が主となっていますが、
火力発電が不可能になったと仮定すると
残る水力・原子力だけではそれを補うことは不可能です。
日本における水力発電は僅かだし、
原子力は危険だからむやみに増やせません。
特に原子力にいたっては世界的に縮小方向にあり、
ドイツでは法律で原子力発電の中止を制定したくらいです。
では、他に何が火力発電にとって代われるのでしょうか?
まず、クリーンエネルギーであること、
無尽蔵またはそれに近いものが条件でしょうか。
既存のエネルギーで考えてみると、
①太陽光発電
②波力発電
③風力発電
④地熱発電
⑤潮力発電
この5つでしょうか。
この5つはクリーンエネルギーであり無尽蔵でもあります。
ただ、共通の難点として「めちゃめちゃ効率が悪い」という
火力発電の穴を埋めるには最大の難点があります。
火力発電は現在5割以上を占めているからです。
で、代わりにというか他のエネルギーとして挙げられるのが
「バイオマスエネルギー」。
一口にバイオマスといってもおおきくわけても2種類あり、
一つは醗酵(発酵)を利用したもの。
例えばメタンガスとか生ゴミはだしますね。
で、そのメタンガス等の可燃性ガスを燃やして熱を得て発電する方法。
ゴミそのものを燃やすのは有害なので駄目ですけど…。
そしてもう一つが木材を利用したもの。
ここではこの木材を利用したバイオマスについて触れていきますね。
そもそもバイオマス発電は新しい考えであり、
日本ではNEDOが中心になって進めています。
NEDOが行っているバイオマス・ニッポン総合戦略は、
2010年度の導入を目指して2001年から5ヵ年計画での
バイオマスエネルギー高効率転換技術開発で、現在11テーマがあります。
(1)石灰・木質バイオマス混焼技術の研究開発
(2)木質系バイオマスによる小規模分散型高効率ガス化発電システムの開発
(3)バイオマスの低温流動層ガス化技術の開発
(4)バイオマスの高速ガス化方式によるメタノール等気体・液体燃料への
高効率エネルギー転換技術の開発
(5)セルロース系バイオマスを原料とする、新規なエタノール発酵技術等
により燃料用エタノールを製造する技術の開発
(6)有機性廃棄物の高効率水素・メタン発酵を中心とした
2段発酵技術研究開発
(7)高効率二段発酵による有機性廃棄物のエネルギー転換技術開発
(8)下水汚泥の高効率ガス変換発電システムの開発
(9)有機物の分解促進による下水汚泥高効率嫌気性消化システムの開発
(10)高含水バイオマスの高効率改質脱水技術を用いたガス化システムの開発
(11)二段階反応法によるバイオディーゼル燃料(BDF)製造技術の研究開発
このうち(1)と(3)は終了しているそうです。
残りも2005年度中の終了を目指して研究中です。
果たして実用化されるでしょうか?
このバイオマス発電の特徴はクリーンエネルギーで
さらに高効率という点なのですね。
電気と熱の両方を合わせて80%位は得られるとか。
火力発電が50%位らしいのですごい効率ですね。それに燃料は格安か無料。
燃料って言ったって流木とか廃材ですから・・・
むしろ燃料の輸送コストのほうが高いかも。ゴミも減りますしね。
それに水素が作れるから水素電池もつくれますよね?
こちらは車の新エネルギーとして期待されてますから一石二鳥です。
ここで木質バイオマスの例を一つ挙げましょう。
ここで挙げる木質バイオマスはガス化して発電に用いる方法です。
ガス化する方法の一つとして、間接ガス化方式というものがあります。
これは、無酸素状態下で原料を熱分解してガスを生成する方法です。
外部の空気が完全に遮断された状態でガス生成が行われるために発生ガスに
窒素混入がなく、単位容積あたりの熱量が高いガスを得る事が可能です。
また、ガス化温度の調整で発生ガスの組成割合を変えることも可能です。
ガス化温度の違いによる発生ガス組成の変化
850℃ 温度 700℃
48% 水素 28%
26% 一酸化炭素 30%
17% 二酸化炭素 25%
8% メタン 13%
2615Kcal/㎡ NLHV 3233Kcal/㎡N
80%以下 相対湿度 80%以下
表によると850℃のガス化では水素の多いガスが得られ、
700℃ではメタンが増えるため発熱量の高いガスを得られます。
他にも低温化でガス化すればバイオマスの熱分解率が下がるので
「残渣」が残りますが、この残渣は発熱量が31.5KJ/gと
石炭に匹敵する炭化物です。
これも十分に燃料として使用に耐えられるものです。
この様にガス化条件を変えることで様々なガスを生成することができ、
炭化物をも取り出すことが出来るので
バイオマスのエネルギー化以外にも色々な用途が期待出来ます。
参考:月間エネルギー2004年10月号 48~51、66~71頁
バイオマス